製造業・工場の効率化を上げる手順と5つの改善方法

工場が利益を増やしていくためには、生産性の向上・効率化がとても重要です。
生産性の向上や効率化と聞くと、設備投資や組織や体制の変更など、大きな改善方法が思い浮かぶかもしれません。
でも、コストや労力をたくさんかけた改善方法が大きな効果を生むとは限りません。
むしろ、日々のちょっとした改善の積み重ねが大きな効果を生むことの方が多いのです。
ここでは、なるべくコストをかけずに日々の業務内で効率化していく手順と方法を解説していきます。

目次

生産性の向上と効率化の違いとは

生産性の向上と効率化は混同されやすい考え方ですが、意味は異なります。
まずは生産性と効率化の違いから理解していきましょう。

生産性とは

生産性とは、投資した資源に対して、どれだけ成果物ができたかという指標です。
つまりコストパフォーマンスのことです。
計算式にすると、「生産性=成果物(アウトプット)/投資した資源(インプット)」となります。
この資源にはヒト・モノ・カネなど、成果物を生むために投資した全ての資源を含みます。

下記の例だと、後者の方が生産性は高いです。

  • 1人のスタッフが8時間をかけて、2つの商品を生産
  • 1人のスタッフが8時間をかけて、4つの商品を生産

効率化とは

効率化とは成果物の質と量は維持したまま、投資する資源を減らすことです。
例えば、これまでは「1人のスタッフが8時間をかけて、2つの商品を生産」していたところを、「1人のスタッフが4時間をかけて、2つの商品を生産」できるようにすることを効率化と言います。

生産性の向上には二つの方針がある

生産性の向上するためには、大きく分けると二つの方針があります。

  1. 投資する資源の量と質を変えずに、成果物の質と量を増やす
  2. 投資する資源の量と質を減らして、成果物の質と量を維持する

後者が効率化するという方針になります。
生産性を向上させるための1つの方針が、効率化だと覚えておきましょう。

生産性の向上が重要な理由

工場の利益を上げるためには生産性を上げる必要があることは、言わずもがなだと思います。
ただ、それ以外にも生産性の向上が重要な理由があります。

労働力の低下と他国よりも低い生産性

マクロ視点からは、下記2点が生産性を上げる必要があります。

  • 2020年をピークに労働できる人口が減っている
  • 一人が1時間あたりに生み出す成果を金額換算した労働生産性が、OECD加盟国35カ国中20位と低い水準にある

出典:労働力人口の推移|厚生労働省
出典:労働生産性の国際比較|公益財団法人 日本生産本部

そもそも労働できる人が減るため、効率化しないとこれまでの生産力を維持できなくなっていきます。
また、グローバル化が進んでおり、国内だけでなく国外とも競争していかなければいけません。
それにも関わらず、日本国内の労働生産性は低いままです。
この2点から生産性を上げていくことが、国内の工場には求められています。

生産性が利益に直結する

ミクロ視点で見ても、生産性の向上は重要です。
生産性を向上させることで、下記2つのメリットがあります。

  • 人件費を削減できるため、コストダウンできる
  • 従業員にかかる負荷が減るため、退職率が改善し採用コストが減る

コストダウンできれば、同じ売上であっても利益を増えます。
そのため、マクロ視点でもミクロ視点でも生産性の向上は重要と言えます。

工場が効率化する手順

投資する資源の量と質を変えずに、成果物の量と質を高めるのは改善が難しいため、まずは効率化を図って生産性を向上させましょう。
効率化は下記の手順で行うことで、大きな成果が期待できます。

STEP1: 効率化の目的を決定する

そもそも、何のために効率化するかという目的を決めましょう。
もちろん、最終的には利益を増やすことが効率化の目的ですが、もう少し小さい目的を置くと改善がしやすくなります。
例えば、「製品Aのコストダウン」や「人件費の削減」など、効率化で解決できる具体的な経営課題を目的にすることをお勧めします。

STEP2:ボトルネックの見える化

目的を決めたら、まずは現状把握から。
改善するためには、ボトルネックとなっている工程や作業を見つける必要があります。
ボトルネックを見つけるためには、「作業自体」や「作業にかかっている時間」、「工程」を見える化する必要があります。
まず見える化すべきことは、各工程にかかっている時間。
そして、各工程をさらに作業レベルまで分解して、作業ごとにかかっている時間を計測して、見える化していきましょう。
そうすることで、具体的にどこに時間がかかっているか見える化できるはずです。

STEP3:改善施策の立案と実行

ボトルネックとなっている工程や作業を見つけたら、改善施策を実行しましょう。
この時に重要なことは、現場目線で改善施策を出してもらうことです。
現場目線での不満や困りごとを一つひとつ解決していくことで、ボトルネックの解消に繋がります。

STEP4: 目標数値の計測と効果の確認

改善施策を実行したら、必ずその施策の効果を計測しましょう。
具体的には作業時間を計測し、施策の前後でどれだけ作業時間が短くなったかを確認します。
もし作業時間が短くならなければ、他の施策を実施してみましょう。
このようにPDCAサイクルを回して、少しずつ効率化を図っていくことが大切です。

工場を効率化する4つの施策

ここからは一般的に効率化の効果があると言われている施策を紹介していきます。
全く効率化の施策が思いつかない、という方はぜひこの5つの施策を参考にしてみてください。

1. 3M(ムリ・ムダ・ムラ)の削減

工程や作業の中で、ムリ・ムダ・ムラがあるものを確認して削減していきましょう。
これも管理者目線だけでなく、現場の従業員にもこの3つの観点でヒアリングすることで、具体的な課題や改善方法が出てくるはずです。

2. 5Sの徹底

ご存知の方は多いかもしれませんが、効率化するための基本である「5S」が徹底できているか、あらためて確認しましょう。
俯瞰的に全体の工程を見るのではなく、各工程や作業単位で

  • 整理
  • 整頓
  • 清掃
  • 清潔
  • しつけ

ができているかを確認することで、改善点が見つかるはずです。

3. 設備のレイアウト改善

設備のレイアウトも効率に大きく影響します。
従業員の導線と各工程の動作を確認し、現在のレイアウトが最適であるかを確認しましょう。
もし改善すべき点が見つかれば、レイアウトを改善することで大きな効果が生まれるかもしれません。

4. 動作の改善

各工程の動作に無駄がないか、効率化の担当者が、実際の作業する様子を見てチェックしましょう。
不必要な動作があったり、待ち時間があったり、作業する人によって動作が統一されていなかったり、と改善点が見つかるはずです。

工場の効率が下がる3つの原因

効率が下がる原因は様々ですが、よくある原因を紹介します。
原因が思い当たらない場合は、まずこの3つの原因に自社の向上が当てはまらないか確認してみましょう。

1. 標準化されていない作業がある

標準化されていない、もしくは標準化しきれていない作業がある場合、従業員によって作業の内容にムラが出たり、作業ミスが増える原因となります。
ボトルネックとなっている工程に標準化されていない作業がないか、確認してみましょう。

2. 作業にミスが多い

作業のミスの多さは効率低下に直結します。
ミスが起きるの原因をヒアリング・分析し、ミスを減らすことで効率は上がるはずです。

3.部品調達や在庫管理が適切にできていない

部品調達のタイミングと量が適切に出来ていないために、「待ち」の時間が発生する可能性があります。
「待ち」の時間が発生している工程や在庫がないか、確認してみましょう。

製造請負も効率化の一つの手段

ここまで工場内で効率化するための手順と改善方法をお伝えしてきました。
これまでの手段と加えて、製造請負を利用することで、さらに効率化できます。
直接的に会社の利益に影響しない業務や不得意な工程を他社に依頼することで、自社の資源を自社の得意な工程や技術を活かす業務に集中させることで、効率化を図る方法もお勧めです。
製造請負を利用するメリットについては、こちらの記事でも詳しく説明しているので、合わせてご覧ください。

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