製造業なら知っておきたい!製造請負のメリット・デメリットとは

製造業の中小企業がこれからさらに利益を伸ばしていくためには、製造請負を利用することが重要です。
消費者の需要は多様化し、モノが溢れている昨今では、これまでのように大量生産大量消費を前提とした生産体制では、利益を伸ばしづらくなっています。
そのため、少量多品種に対応できる生産体制への切り替えや、消費者の需要に対応できる企画や技術の開発への注力による競合他社との差別化が必要となります。
しかし、社内のリソースをいきなり増やしたり、生産体制や生産設備を変更するには、多大な資金と労力がかかります。
そこで業務請負を利用し、コストを抑えながらもコア業務に集中することで、利益を伸ばしている企業が増えてきました。
この記事では、製造請負の利用を検討している方に向けて、製造請負のメリット・デメリットから、利用する際の注意点まで詳しく解説していきます。

目次

製造請負とは

まずは「製造請負」自体への理解を深めましょう。
製造請負とは、生産工程の一部や検品・検査工程などの特定の業務を他社へ委託すること、もしくは委託されることです。
製造請負で委託できる業務は、請負業者によって異なります。

製造請負と派遣・業務委託との違い

製造請負と混同しやすい言葉の一つに「業務委託」があります。

業務委託には「請負契約」と「委託契約」の2種類があり、請負契約に関しては先ほど解説した「製造請負」のことです。
製造請負と委託契約の違いは、下記の点が異なります。

  • 製造請負は生産した生産物に対して対価が支払われるが、委託契約は業務に対して対価が支払われる
  • 製造請負は委託者から受託側に対して直接指示や命令を出せないが、委託契約の場合は直接指示や命令を出せる

委託契約の場合は工程にも指示や命令が出せるため、管理しやすいというメリットはありますが、逆に管理工数がかかるというデメリットがあります。
どちらが良いかは、自社がどのような形で生産工程を請負会社と一緒に作っていきたいかによって決めるべきでしょう。

派遣との違い

製造請負の場合は他社へ工程を委託する形となりますが、派遣の場合は自社の工場内に自社で契約した派遣社員に工程を任せます。
そのため、

  • 製造請負=外部でリソースを調達する
  • 派遣=内部のリソースを増やす

という違いがあります。

製造請負を利用するメリット

製造請負を利用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
様々なメリットが考えられるますが、その中でも特に製造業の中小企業にとって大きなメリットを

  1. コア業務に集中できる
  2. 需要に合わせた柔軟な対応ができる
  3. 固定費を削減できる

メリット1 コア業務に集中できる

リソースが不足しがちな中小企業にとって、最も大きなメリットは「コア業務にリソースを集中させられる」ことです。
コア業務とは、自社の利益に直結する業務のこと。
例えば、高い技術力を必要としない工程は製造請負を利用し、自社が最も得意とする工程や技術開発、商品企画に人材と資本を集中させる。
といったイメージで、自社の得意な工程や利益に直結する業務以外に使う社内リソースを減らし、その分をコア業務に集中させられれば、競合他社との差別化や効率化が進み、会社としての利益が上がっていくはずです。

メリット2 需要変動に合わせた柔軟な対応ができる

繁忙期に必要な生産量を生産するためには、人員を増やさなければいけません。
全ての生産を社内で完結しようと思うと、雇用を増やすか必要があります。
しかし、繁忙期を過ぎると増やした人員へ回す仕事量が少なく、恒常的に人件費が高くなってしまいます。
製造請負を利用していれば、社内の雇用を増やすことがなく、生産量を増減できるため、需要変動に合わせて柔軟な対応ができます。

メリット3 固定費を削減できる

メリット2でもお伝えしたように、製造請負を利用すれば人件費は柔軟に調節できるため、うまく利用できれば人件費を削減できます。
また、新製品の生産に新しい設備が必要になった場合、既にその設備を持っている企業へ依頼することで設備の導入費や維持費はかからなくなります。
固定費を削減できれば、製造原価も安くなるというメリットがあります。

製造請負を利用するデメリット

メリットが多い製造請負ですが、当然デメリットもあります。
それは「委託した生産工程や業務のノウハウ・技術が社内に蓄積しない」ということです。
ただ、このデメリットについては、コア業務に集中すると割り切ってしまえば、そこまで大きなデメリットではありません。

製造請負会社との契約の結び方

製造請負を利用する場合は、委託する業者と「製造請負契約」を結びます。
製造請負契約に関して、法律上の規制がないため、契約書を作成しなくても問題ありません。
ただし、社内のノウハウや技術、製品の情報などの機密情報が漏洩させないためにも、その他のトラブルを未然に防ぐためにも製造請負契約書は必ず作成しておきましょう。

契約書の内容はどうすればいい?

製造請負契約書には、下記の基本的な項目を入れておきましょう。

  • 報酬額
  • 支払期日
  • 支払方法
  • 不良品があった場合の責任範囲と所在
  • 不良品があった場合の対応方針
  • 機密情報を漏洩させないこと

もし契約書の内容が心配であれば、事前に弁護士に相談することをお勧めします。

知らないでは済まされない?偽装請負とみなされるケース

知らないうちに「偽装請負」をしないように気を付けましょう。
偽装請負とは、労働者派遣もしくは労働者供給であるにも関わらず、請負契約や業務委託契約に偽装することです。
これは労働者が不当に搾取されないために、法律で禁止されている行為となるため、製造請負を利用する場合は気をつけましょう。
具体的には下記が偽装請負とみなされることがあるため、充分に注意してください。

  • 発注者が請負会社の従業員に直接指示や命令をする
  • 管理責任者が形式上のものとなり、実際には発注者からの支持を管理責任者がそのまま現場スタッフに伝えている

製造請負業者の選び方

製造請負業者を選ぶ際、以下の点を検討した上で選びましょう。
製造請負を利用すれば、直接雇用した従業員とは異なり、すぐに契約を切れます。
ただ、長期的にお付き合いできる良いパートナーを見つけた方が、発注者側にとっても受注者側にとっても会社として発展していけます。

  • 情報共有が小まめにできる
  • 製造請負を導入する流れを提案してくれる

特に情報共有については、長期的なお付き合いをしていく上で、とても大切になります。
しっかりと自社の目的や課題を共有しないと、どこかで認識のずれが起き、それが製品のクオリティの低下につながる可能性があります。

まずはコア業務とノンコア業務の切り分けから

製造請負の利用を検討している方は、まずはコア業務とノンコア業務の切り分けからしてみましょう。
その上で、ノンコア業務のうち、どの工程や業務を外部に委託するか決めることで、製造請負を利用する目的・目標や現在の課題が明確になるはずです。
この記事を掲載している「みんなのコア業務」も、製造請負サービス「みんなの代行」を提供しています。
「みんなの代行」では、電子機器の組立・配線から梱包や発送まで、幅広くノンコア業務の代行を請け負っております。
製造請負の利用を検討している方には、コア業務とノンコア業務の切り分けと製造請負の導入フローの提案も行っており、導入サポートも充実しています。

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